プレミアリーグ連覇を狙うアーセナルにとって、今夏の移籍市場は非常に重要な意味を持っています。
22年ぶりのリーグ制覇を果たしたミケル・アルテタ率いるチームは、一過性の成功ではなく、長期的な支配体制を築こうとしています。
そのために掲げている大きな目標は二つあります。一つは新たなアタッカーの獲得です。
候補としてはモーガン・ロジャースの名前が挙がっており、本人も移籍に前向きだと伝えられています。
そしてもう一つが、中盤の補強です。昨季は中盤の負担が大きく、シーズン終盤にかけて層の薄さも課題となりました。
現在、最も注目されているターゲットはニューカッスルのブルーノ・ギマランイスです。
アーセナルはすでに選手側と接触しているものの、仲介者を通じた5500万ポンドの提案は拒否されたとされています。
今後はクラブ間で直接交渉に進む可能性がありますが、ニューカッスルとしてはサンドロ・トナーリにも関心が集まる中、主力を簡単に手放すつもりはないでしょう。
そこで代替候補として浮上しているのが、リールのアイユーブ・ブアディ、そしてボーンマスのアレックス・スコットです。
特にスコットに関しては、アーセナルが強い関心を示しているとされ、マンチェスター・ユナイテッドも獲得に前向きだと報じられています。
ただし、ボーンマスは売却に消極的で、新契約を結ばせたい考えです。移籍を実現させるには、8000万ポンド規模のオファーが必要になる可能性があります。
この動きが影響を及ぼしそうなのが、マイルズ・ルイス=スケリーです。
ルイス=スケリーは、ここ2シーズンで大きく立場を変えてきました。
1年前はアーセナルの下部組織出身の新星として台頭し、シーズン終盤には重要な戦力となりました。
チャンピオンズリーグではPSGやレアル・マドリードを相手に堂々としたプレーを見せ、イングランド代表デビュー戦では印象的なゴールも記録。
マンチェスター・シティ戦で得点後にアーリング・ハーランドのセレブレーションをまねた場面も話題になりました。
彼の魅力は、若さに似合わない落ち着きと自信です。
決して傲慢なタイプではありませんが、プレーには強い確信があります。ボールを受けても慌てず、相手のプレスをかわしながら前進できる能力は、現代の中盤に求められる資質そのものです。
ただ、2025/26シーズンは出場機会に恵まれたとは言えません。
プレミアリーグでの先発は38試合中5試合にとどまり、8月から4月までの間にリーグ戦で先発したのはわずか1試合でした。
それでも終盤には国内リーグ4試合中3試合で先発し、さらにチャンピオンズリーグ決勝でも起用されました。重要なのは、その起用位置が左サイドバックではなく中盤だったことです。
だからこそ、ギマランイスやスコットの加入はルイス=スケリーにとって大きな痛手になりかねません。
特にスコットは、彼と同じく中盤の8番タイプとして起用される可能性が高い選手です。
二人は完全に同じタイプではありませんが、アルテタの中盤において争うポジションは重なります。
スコットもまた、プレス耐性が高く、ボールを運び、前線とのつながりを作れるミッドフィルダーです。
昨季は4得点を挙げるなど、攻撃面での貢献度ではルイス=スケリーを上回ります。
ルイス=スケリーが近年は守備的な役割を担うことが多かった点を考えれば単純比較はできませんが、左のインサイドハーフとして即戦力を求めるなら、スコットは非常に魅力的な選択肢です。
アルテタはこれまでも冷徹な判断を下してきました。
エミール・スミス・ロウやアーロン・ラムズデールの退団は、その象徴と言えるでしょう。
大きな問題を起こしたわけではなくても、チームの進化に必要だと判断されれば、容赦なく序列は変わります。
ルイス=スケリーはようやく指揮官の信頼を取り戻しつつあります。
しかし、8000万ポンド級の中盤補強が実現すれば、その立場は一気に不安定になるかもしれません。
アーセナルの大型補強はクラブにとって前進である一方、下部組織が生んだ逸材にとっては厳しい競争の始まりとなりそうです。
(Football Fancast)