アーセナルが狙う2つの補強、ついにタイトル獲得に必要な火力をもたらすか
今季アーセナルがプレミアリーグのタイトル争いで大きく後れを取った理由は、特に深い分析をしなくても明らかです。
度重なる負傷問題と前線の決定力不足、この2点が、リヴァプールに食らいつけなかった大きな原因でした。
負傷問題については、アーセナルやミケル・アルテタのせいとは言い切れない部分もあります。
トレーニングやリハビリの取り組み方を見直すのも悪くないかもしれませんが、それ以上に重要なのは、攻撃陣の迫力不足を補うためにこの夏の移籍市場でどれだけ効果的な補強ができるか、という点でしょう。
幸いなことに、アーセナルはこの夏、前線の得点力と層の薄さを補うための補強に動く可能性が高いと見られています。
中でも2つの移籍が、かなり現実味を帯びてきており、しかもアーセナルに必要な資質をぴったりと満たしているのです。
ヴィクトル・ギョケレスは、まさにアーセナルが必要とするストライカー
ここ数か月、アーセナルはアレクサンダー・イサクやベンジャミン・シェシュコなど、様々なストライカーと噂になってきました。
しかし最近では、ヴィクトル・ギョケレスの獲得が最有力候補として浮上しています。
夏の移籍市場が開くまでには状況が変わる可能性もありますが、スウェーデン代表ストライカーの獲得は、アルテタのチームに完璧にフィットするかもしれません。
今季のアーセナルは、本物の「ナチュラルゴールスコアラー」なしで苦しんできました。そして、スポルティング所属のギョケレスはまさにその存在です。
昨シーズンは50試合で43ゴール、今季もすでに52ゴール(執筆時点で直近9日間に8ゴール、そのうち2回ハットトリック達成)と驚異的なペースで得点を量産しています。
この26歳は、あらゆる角度からゴールを決める力を持ち、決定的な一撃を繰り出せるフィニッシャーへと進化しました。
しかも、シュートの際にほとんど「二度触り」を必要としない決断力の高さも武器です。
カイ・ハヴァーツやガブリエル・ジェズスにも優れたテクニックはありますが、ゴール前での迷いと決定力不足が痛手になる場面が多く見られました。ギョケレスの加入は、その問題を解決できるでしょう。
さらに彼は、単なるフィニッシャーではありません。ジェズスやハヴァーツが得意とする、チームメイトとの連携やスペースメイク、狭いエリアでのコンビネーションプレーにも優れています。
ギョケレスは同様の動きに加え、強靭なフィジカルで相手DFを抑え、ワンタッチパスでも味方を活かせる選手です。
そして、彼の移籍金は約5,500万ポンドと報じられており、スポルティングとの契約解除条項よりも安く済む可能性もあると言われています。
要するに、ギョケレス獲得の動きは、アーセナルにとって「賢い選択」になり得るのです。多少高額でも、チームスタイルを壊さず、前線に切れ味をもたらしてくれるでしょう。
もうひとつの鍵、「ニコ・ウィリアムズ」獲得か
もちろん、アーセナルが必要としているのはストライカーだけではありません。サイドからの攻撃力も強化が求められています。
ブカヨ・サカは素晴らしい選手ですが、その他のウィンガーには安定感を欠く部分があります。
ガブリエウ・マルティネッリは2年前にプレミアリーグで15ゴールを挙げてブレイクしましたが、その後は一貫性に欠けています。
最近は復調の兆しも見せていますが、サカほど「安心して任せられる」存在とは言えません。
だからこそ、アーセナルは繰り返しニコ・ウィリアムズへの関心を示してきました。
最新の報道では、ギョケレスが最優先ターゲットである一方、ウィリアムズへの正式オファーが出るかどうかはまだ不透明です。
しかし、彼は現在のアーセナルに欠けている「違いを作れる力」を備えています。リリース条項は5,000万ポンド程度とされ、高すぎる金額ではありません。
マルティネッリとウィリアムズのゴール数自体はそれほど差がありません。しかし、重要なのは得点力以上に「相手守備を崩す力」です。
マルティネッリが得意とすることは、ウィリアムズもできる――ですが、ウィリアムズはさらに速く、相手DFを置き去りにする力は段違いです。
だからこそ、彼はスペイン代表の左ウイングのファーストチョイスになり、ユーロ2024決勝でもイングランドを相手にゴールを決めました。
爆発的なスピードとそれを活かすテクニック、そしてチームが最も必要とする場面で違いを生み出す力を持っているのです。
数字を見ると、ウィリアムズはマルティネッリよりも遥かに多くのチャンスを創出しており(今季は試合平均5回以上のシュート機会創出、マルティネッリは3回未満)、ドリブル成功数も上回り、過去2シーズンではリーグ戦でのアシスト数もマルティネッリの倍以上に達しています。
ウィリアムズを獲得すれば、単なる「左の控え」以上の意味を持つでしょう。アーセナルの前線全体をさらに活性化させるピースとなるかもしれません。
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